60

意志あるところに風が吹く

 その人は興味をもって私の話を聴いてくれているようなのですが、その実、いまひとつ理解が伴っていないということが1時間余の話し合いの中で感じられました。これ以上話をしても無駄だろうと考えた私は、話は打ち切ったもののとても虚しい気持ちが残りました。

 誰しも、新しく何かを始める場合、不安や心配が頭をよぎり、前に進むことができず考え込んでしまうこともあるでしょう。しかし、今回のこの人の場合は新しいことにチャレンジすることよりも、スタートした後、諸々の起こるやも知れない問題にのみ心捉われ、なかなか決断できず、同じ事柄について堂々巡りの質問の繰り返しで、問う側も答える側も心悩ませてばかりの状態でした。肝心なときに決断できない人は、結局自分の人生において素晴らしいチャンスを逃すことが多いのではないかとしみじみ思ったものでした。

 そんなことがあって少し経った頃のことでした。
 以前より企画していた仕事の新しい進め方について考えてはいたのですが、日々の忙しさにかまけてその案件については後回し後回しでなかなか実行出来ずにおりました。

 ところが、あることがきっかけで「やはり、この方法がいい。これしかない!」と、心を決めその保留の案件に真剣に取りかかったところ、それに関連した良い話が次々と持ち上がり始めたのです。まるで心地よい風がこちらに向かって吹いてきたように…。

 そこで思い出したのが、石川洋先生からうかがったことのある沖縄の漁師さんのエピソードでした。
 漁師さんたちは、遠洋漁業から戻ってしばらくは家族と一緒に暮らし、そして再び漁に出るのですが、その出航の日程がなかなか決められず、悪戯に日々が過ぎて行くのです。波も立たず風も立たない日々でした。ところが、出航日を決めた途端、それを慶ぶかのように風が吹き始め帆がはためき波が立つといいます。

 大切なことは、まず覚悟(意志決定)をきめること。そうすればそれを応援するかのように周りに良い風が吹き始めます。スキル(能力)よりウィル(意志)が大切!どれだけ能力があっても、意志が伴わない限り風も吹かず、波も立たず、成功もありえないということなのです。本当に大切なことは「やる気と意志」なのですね。

著者プロフィール

  1. 1945年1月1日生まれ
  2. 兵庫県西宮市出身
  3. 株式会社ベルリーナ代表取締役社長
  • メイクアップアーティスト
  • カラーアナリスト
  • 日本エスティシャン協会会員
  • 心理学研修トレーナー